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ウィキペディアから借りてきた出典

公開日 2026年9月2日 · 1

Wikipediaの記事から一段落をコピーし、手間をかけずに更新するニュースまとめサイトに掲載する。一年も経てば、誰かがそのコピーを引いて、その一文が事実である証拠だと言い出すかもしれません。編集者たちはこの循環に「サイトジェネシス」という呼び名を与えています。出典のない記述が百科事典を離れ、無料のものなら何でも転載するサイトに拾われ、独立した裏づけであるかのような顔をして戻ってくるのです。

こうした借用は、想像以上にウェブの至るところで起きています。ミラーサイトはWikipediaをまるごと転載し、ドメイン名だけ変えて出典表示を外していることも珍しくありません。コンテンツファームは記事の冒頭の一文を書き換え、まとめ記事の「事実」に仕立てます。地方のニュースアグリゲーターは、ある企業のWikipedia上の経歴をパラフレーズし、自社取材による人物紹介であるかのように装います。取材にかかる手間より、無料のテキストを書き換えるほうが安上がりだからです。こうしたサイトのどれ一つとして、その記述を現実に照らして確かめてはいません。確かめた相手はWikipediaだけです。

この罠は広報担当のチームも例外なく引っかかります。ある企業が創業年について三つの出典を添えた草稿を提出したところ、そのうち二つは、同じWikipediaの記事の以前の版から一文をそのまま引き写したブログと企業データベースだったということがあります。日付は十分に裏づけられているように見えます。実際には、二重に迂回して自分自身を裏づけているにすぎません。

Wikipediaの記事、またはそこから得た内容を出典として用いてはなりません。循環参照になるためです。これはWikipediaのミラーサイトや派生版から得た内容にも、Wikipediaを出典として利用した別の情報源を介して間接的に記事を利用する場合にも当てはまります。
WP:CIRCULAR、意訳

査読者はこの循環を、日付を遡ることで見抜きます。ある記述が最初にWikipediaに現れた後で公開された出典、あるいは記事作成と同じニュースサイクルの中で公開された出典は、あらためて確認する価値があります。編集方針の明記されたメディアに属さないドメイン、Wikipediaの文章とあまりに酷似した言い回し、独立した発行元ではなくWP:MIRRORSに載っているミラーサイトだと判明する「出典」も同様です。

解決策は出典の数を増やすことではありません。それぞれの出典を、Wikipediaが情報源になり得た時点より前まで遡ることです。記事が存在する前の日付が付いた届出書類、独自に取材したジャーナリストによる人物紹介、独自の署名と独自の取材過程を持つ発表資料。Wikipediaを繰り返すだけの出典は、何度コピーされようと、その記述に重みを一切加えません。

そこから残る心構えは地味なものですが、それでも守る価値があります。脚注の先にある、事実が実際に生まれた場所まで読み進めること。そして、その跡が今読んでいる記事自体に戻ってきた時点で立ち止まることです。

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各エピソードは編集部の執筆。AdrianとNoraの音声はAI生成です。