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推定は証明ではない

公開日 2026年8月22日 · 1

ある依頼者の義父には、プロとしての出場経験が一度だけありました。1987年、サッカーの試合での九十分間です。そしてそのウィキペディアの記事は、十年以上ほとんど手つかずのまま残っていました。依頼者は、当時としては正しく、プロの試合に一度出場すればそれだけで基準を満たすと聞かされていました。ところが、そう定めていた基準が書き改められ、その一行だけを根拠にしていた数千件の伝記記事が、かつて争いなく通過したはずの、同じ議論の場に呼び戻されることになったのです。

ウィキペディアには、二種類の特筆性の基準が並行して存在します。一般的な基準は、対象から独立し、かつ信頼できる情報源による有意な報道を、案件ごとに個別に求めます。これに対して分野別の基準、スポーツ選手向け、研究者向け、政治家向け、音楽家向けとそれぞれにあり、近道を用意しています。挙げられた条件を満たせば、州議会に選出された、名を冠した教授職に就いた、完全にプロ化されたリーグでプレーした、といった具合に、記事ごとに検証しなくても一般的な基準を満たすものと推定されるのです。

分野別の特筆性の基準を満たすことは、その主題が単独記事にふさわしいという推定を生みます。この推定は保証ではなく、情報源を精査した結果それを裏づけられなければ、覆されることがあります。
Wikipedia:特筆性、大意

この近道が存在するのは、たいていうまくいくからです。基準を書いた編集者たちは、州議会議員や名を冠した教授職に就く人物は、たいてい報道を集めるものだと、それなりに理にかなった判断をしました。だからこそ、毎回その傾向を証明し直す必要はないのです。しかし推定とは、ある傾向に賭けることにほかならず、それを条文化した基準は、サイトの他のすべてを維持しているのと同じコミュニティ自身によって書かれ、そして書き改められます。

その傾向が成り立たなくなったとき、つまりある分野の主題全体について、近道が前提としていたはずの報道が実は存在しないと分かったとき、基準は引き締められることがあり、しかもそれは遡って適用されます。五年前に、今ではもう存在しない条件によってすんなり通過した記事だからといって、既得権として守られるわけではありません。新規の削除提案とまったく同じ議論の場に戻され、そこで確かに通用するのは、誰かが実際に示せる報道だけです。

だからこそ私たちは、分野別基準を満たしたという事実を、弁護士が有利な手続き上の判断を扱うように扱います。役には立つけれど、実体審理の結論ではない、と。依頼者に、この記事はもう安心だと伝える前に、その近道が本来省略させるはずだった問いを、私たち自身に投げかけます。今日、その実績そのものとは無関係に誰かが報道を探したとして、見つかるだろうか、と。挙げられた条件は扉を開けることができます。それを開けたままにしておけるのは、報道だけです。

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各エピソードは編集部の執筆。AdrianとNoraの音声はAI生成です。